四国歩き遍路 (愛媛編)

 
 
菩提の道場、愛媛県。全行程は360キロ程とされています。距離こそあるものの、久万高原を抜けて道後温泉まで降りてくると、町の景色の移り変わりが激しいからか、体感としては高知県ほど長くは感じませんでした。山場になるのは40番観自在寺を過ぎてから久万高原を抜けるまででしょうか。というのも、高知県でアスファルトの上を歩き続けた疲れが愛媛に入った辺りで押し寄せてきます。加えて、「一体いつになったら遍路は終わるんだ・・・」と気が滅入るのもこの時期に多いようです。
自分が徳島県の太龍寺を付近を歩いているときに、「愛媛県入ったあたりでみんなあものすごく帰りたくなるみたいですよ。」
という話を聞いた時は、「そこまで行ったら半分以上、ゴールまでもう少しじゃないか!」と思いましたが、私自身帰りたくなりました(苦笑)。
 
とはいえ、愛媛県まできたらゴールは目前です。もう一息がんばると、「あと一週間でこの遍路も終わりか・・・」なんて日がやってきます。
46番の浄瑠璃寺まででてきたら、そこから88番まで2週間と言われています。自分のペースを守りつつ最後までがんばりましょう!身体にはお気をつけください!
道後温泉を抜けると遍路道近くに駅がある場合が多くなってきます。もし宿の宿泊場所に困ったときは、電車で宿泊場所に困らない栄えてる町まで戻るのも良い案だと思います。
 
 
44番大宝寺、45番岩屋寺がある久万高原は山に囲まれた標高の高い所にあるため、、天候の変化には気をつけてください。僕が久万高原を歩いたときは11月20日くらいだったのですが、雪が降り積もってました。また、降水確率が30%というのはほぼ100%でした(苦笑)。
愛媛県での難所はこの久万高原の44番と45番、後は60番の横峯寺と言われています。後は特筆するほどでもないと思います。
この二箇所は、徳島県の焼山寺と比べたら大したことはありません。ここまで来た自分の足を信じてください!
65番三角寺はそれ自体難所ではないですが、その次の66番雲辺寺が難所となり、雲辺寺をどう攻略するかで宿のとり方が変わってくるので注意が必要です。
雲辺寺周辺の宿は数が少なく、また人気の宿しかないため、予約は遅くとも1週間くらい前にしておくことをオススメします。
道後温泉まで来ると、自分のペースも決まってきますので、三角寺までの計画は立てやすいかと思います。早めに予約しておきましょう!
 
 
 
愛媛県の要チェックポイントを押さえておきましょう
 
◎44番大宝寺、45番岩屋寺の打ち方
43番明石寺から結構距離があります。途中までは特に分岐点もないのですが、内子町で道が分かれます。距離はそれほど変わりませんが、山道の割合にはかなりの違いがあります。
また、45番→44番と逆打ちするという打ち方もあります。その場合、遍路道は1本になるので要チェックです。足場が極端に悪いところもあるとのことなので注意が必要です。
44番→45番といく場合は打戻りする形になりますので、それを見越して宿を確保していただくと、荷物なしで岩屋寺へ行くことができます。
内子を抜けてから44番までの遍路道沿いに食べる所は全くないので、事前にパン等を持参しておいてください。寄り道すればあったかもしれませんが…余裕なかったです(笑)
 
 
◎60番横峯寺の打ち方
 
焼山寺ほどしんどいものではないにしろ、侮れるものではありません。前日は最寄の遍路宿に宿泊するようにしてください。順打ちでいく場合はアスファルトの整備された道が続き、山道は比較的少ないので楽です。しんどいなーと思ったら到着です。雨が降ると順打ちの道にある川が氾濫して通れなくなるようですが、余程の豪雨でない限りは大丈夫とのことです。
もし悪天候のため、順打ちで最短ルートで行けなくなった場合は回り道をしなければなりません。そうなった日は60番を打たずに、先に61~64番を打ち、中萩駅くらいまで歩いて、電車で60番横峯寺の麓まで戻ってきてそこで宿泊するのがオススメです。次の日は60番横峯寺を打戻り、電車で中萩まで行き、その続きを歩いて宿をとる。このようなプランにすると悪天候による被害を最小限にできるかと思います!使えるものは使いましょう!別に電車に乗って歩くべき遍路道を楽しているわけではないので大丈夫です。
 
 
◎65番三角寺、66番雲辺寺の打ち方
 
 
もし、前日に四国中央市で泊まるのであれば、スーパーホテルがオススメです。古い遍路地図には載ってませんが、このスーパーホテルが三角寺へ一番近いです。温泉もありとてもくつろげます。朝ごはんが6時半からじゃないと食べれないのが玉の瑕ですが、恐らくそんなことを言うのはお遍路さんくらいだと思います。
四国中央市で泊まった場合は、65番~66番と一気に打ち、66番から山を降りていった最初にある「青空屋」さんで宿泊させてもらうのが良いと思います。このルートで行くのは一見無理そうに思われる方も多いかと思いますが、朝早くでれば大丈夫です。16時過ぎには宿に到着するかと思います。雲辺寺は雪が積もります。気をつけてください。
66番の雲辺寺まで行き切る自信がない場合は雲辺寺の手前にある「民宿岡田」さんで宿泊するのがオススメです。
同じスーパーホテルで宿泊していたお遍路さんは、「前日に椿堂(65番から6キロほどの地点)まで歩いたから、明日は椿堂から歩く。」という風に仰っておられました。良い案だと思います。
 
66番雲辺寺を攻略すれば四国遍路成満も目前です。無理をして体を壊さないように気をつけてください!
 
 
◎特に印象に残っている宿
 
○遍路宿もやい
41番龍光寺から手前4キロくらいの所にあります。素泊まりのみで3000円。自転車を貸し出してくれるので、食べ物には困らないと思います。
襖一枚で隣の部屋としきられているため、隣の音は筒抜けです。そのため隣の部屋にお遍路さんへの配慮のない人が宿泊した場合は辛いです。
洗濯は無料、乾燥機は100円。お風呂も綺麗でキッチンもあり、寝間着も自由に使わせてくださるという3000円では考えられない待遇でした。
宿の亭主はとても優しく良い空気感をもってはる人でした。
 
 
○桃季庵
45番岩屋寺から46番浄瑠璃時のちょうど中間にあります。宿の亭主が元お遍路さんだったこともあり、希望すれば残りの遍路道の効率的な打ち方を教えてくださいます。
一見強面な方ですが、とても良い人です。夕食までのしばしの時間、談笑で盛り上がりました。
 
 
○北条水軍ユースホステル
53番円明寺~54番延命寺の間にあります。ネットでは、批判的な意見が見受けられますが、個人的に受けた印象ではそれほどひどいものではありませんでした。宿が整理整頓されていてとても綺麗!ということはなかったですが、不衛生な印象はなく、良くも悪くもユースホステルらしかったと思います。
ユーモア溢れる宿のおっちゃんが作ってくれる家庭料理はとても美味しかったです。四国遍路中でも屈指の美味しさでした。近くに温泉もあるので遍路の疲れを癒すことができると思います。
朝食はこちらの都合に合わせて作ってくださいます。朝食は自家製のパンをいただいたのですが、これまたパリパリでとても美味でした。
料理の美味しさがとても印象的な宿でした。
 
 
○同行民宿「鈴」
60番横峯寺の麓にある民宿。素泊まりの料金が遍路宿随一の安さらしいです。昔は2食付きもあったみたいですが、最近は朝食のみとのことです。横峯寺まで何度も歩いて行った事のある気さくなおばあさんとその旦那さんが迎えてくださいます。昔使われていた横峯寺への遍路道があるので「鈴」から横峯寺へ向かう場合はその道を宿のおばあさんに教えてもらうと良いかと思います。朝食で出てきたお米がとても美味しかったのが印象的でした。
 
 
 
○民宿「青空」
66番雲辺寺から山を降りたすぐの所にある民宿。優しくとても親切なご夫婦が印象的でした。洗濯乾燥は無料でしていただきました。晩御飯に猪のお肉で作ったハンバーグを出していただきました。とても美味しかったです。ご主人が司馬遼太郎の大ファンらしく、もっとお話を伺いたかったのですが、横峯寺の雪山越えに疲れきってしまい、ちゃんとお話ができなかったのがとても残念でした。朝ごはんの時間もこちらの都合に合わせていただけるので、とても助かりました。