現在のお香界隈の話

2019年04月01日 20:03

今回はなぜ高品質な沈香や伽羅がここまで暴騰してしまったのか、そのお香界隈のお話をさせていただきます。

 

そもそも、高品質な沈香や伽羅というのは、その生成過程から考えても100年単位の時間を要しますし、偶然と勘に頼らざるを得ない方法でしか採取できないという貴重なものでした。

それが、ここ最近の目覚ましい経済成長を遂げる中国や、アラブ諸国の需要拡大により一気に買い占められる事態となったのです。

中国では宗教儀礼でお香を焚く文化があり、また装飾品への加工や賄賂での使用などを前提とした投機目的で購入される需要が、経済発展に伴って拡大しました。またオイルマネーのアラブ諸国では大事な人を家に招く時に沈香を惜しげも無く盛んに焚いて香りを楽しんだり、香水用に使用する文化があります。

この中国、アラブ諸国に沈香の採集量の9割を買い占められ、日本に入ってくるのは残りの1割しかありません。さらに高品質なものから買い占められるため、日本が高品質なものを手に入れることは、とても困難になっているのです。

 

このようなことから近年中国では沈香の価格が暴騰しました。そこで中国人が目をつけたのが当時日本にまだ残っていた伽羅や沈香でした。数年前の日本の相場は中国に比べて非常に安く、高品質なものが残っていました。伽羅の中でも高品質とされている緑油伽羅などは日本にしかないと言われていたそうです。そんなこんなで有名香木店には毎日のように中国人が溢れかえり、爆買いを繰り返していました。

 

こんなお香界隈の流れがあり、現在、日本で高品質な沈香、伽羅を安価に手に入れることが難しくなってしまったのです。